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【活用事例】変容の可視化が生徒一人ひとりの挑戦を支える

秋田県立横手高等学校

【活用事例】変容の可視化が生徒一人ひとりの挑戦を支える

変容の可視化が生徒一人ひとりの挑戦を支える

 

試行錯誤を重ねた課題研究の評価

「剛健質朴」「青雲の志」「天佑自助」を教育指針とする本校。平成30年度よりスーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)に指定され、2024年度現在、Ⅱ期目に入ったところです。本校のSSHでは、「美入野データサイエンス」(以下、MDS)という学校設定教科を設け、1年生のうちからデータ収集・分析について発展的な内容まで学習。2年生以降はデータサイエンスに基づいた課題研究に取り組みます。Ⅱ期からは生徒全員が機会を得られるよう、課題研究の対象を理数科だけでなく普通科の生徒にも広げました。このように学校の在り方も変わる中、課題研究を進める生徒にどのようなサポートが望ましいのかと模索していたときに出会ったのが「Ai GROW」 、そして「数理探究アセスメント」でした。

 

▲SSH事業の核となり、Ⅱ期からは全生徒が対象となった
「美入野データサイエンス(MDS)」

 

これまでSSH指定校として課題研究による生徒の変容把握には試行錯誤してきましたが、「取り組む姿勢が変わってきたな」と思ってもそれを客観的に評価する方法がないことが課題でした。探究のコンペティションなどもすべての班が参加できるわけではなく、一生懸命取り組んでも思うような結果が出ない場合もあります。課題研究に取り組む生徒一人ひとりの変容を捉えることのできる客観的な指標として「Ai GROW」 「数理探究アセスメント」に大きな魅力を感じ、3年間の活動を通課題研究を支えるスキルがどのように伸びているかを把握するために「数理探究アセスメント」を、加えて、課題研究が本格化する2年生では資質・能力の変容をより細かく確認するために「Ai GROW」を導入しました。

 

▲課題研究で街頭アンケートを行う生徒たちの様子

 

クラスメートの強みを把握してロールモデルに

「Ai GROW」は受検後個人レポートを通じて生徒に結果をフィードバックするだけなく、生徒全員の強みと伸ばしやすいコンピテンシー(「Ai GROW」は生徒の気質も計測することにより、コンピテンシーの成長ポテンシャルも明らかにできる)を一覧にし公開しました。自分伸ばしたいと思うコンピテンシーを強みとするクラスの友人が分かれば、他者の言動から学ぶことは多いはず。他者を評価し他者に評価される経験や、友人というロールモデルの存在が、自分について振り返り、考えるきっかけになってくれたらと思っています。

 

大学入学者の半数以上が総合型選抜・学校推薦型選抜入試で合格する中、本校でもこれらの入試での挑戦を希望する生徒は増えています。「Ai GROW」導入前は「探究を頑張ったけれど思うような成果が出なかったので、課題研究以外のことを書きました」と志望理由書の添削を依頼してくる生徒は少なくありませんでしたが、「Ai GROW」で自身の強みや成長を多面的かつ客観的に把握できるようになった今はたとえコンペティションなどでの成果がなくても課題研究による成長を志望理由書や面接で具体的にアピールすることができ、私たち教員も個に応じたアドバイスの参考にさせてもらっています。

 

「Ai GROW」の受検結果は、生徒の成長や挑戦を促だけでなく、SSH事業の加速にもつながるはずです。また、「Ai GROW」のデータをさまざまな観点から分析すると「論理的思考力」と模擬試験の国語のスコア高い相関があることが分かりました。この結果は、これまで理数科中心で進めてきたSSH事業にさまざまな教科分掌を巻き込み、学校全体で課題研究やコンピテンシーの育成を進めていく体制作りの後押しとなるのではと期待しています。

 

 

生徒の目を社会に向けさせる

「数理探究アセスメント」ついては、受検を重ねながら分析を行SSH事業、課題研究を通して数理科学的なものも見方や考え方がどのよう育まれているのか、学年の強みや課題がどのようなものであるのかを可視化していく予定ですまた、日頃から生徒を見ていると、社会とのつながりさを感じることがあります。自分が興味をもつ分野や地域のことには詳しくても、世の中全体のニュースについては知らない、気付いていないことも多いため、今後は、1年生の春など、課題研究が本格的に始まる前自然科学や社会課題に関する問題が多く出題される「数理探究アセスメント」を実施し、社会で今起きていることや、世界が抱える課題に目を向けさせたいと思っています。

 

MDSを普通科の生徒にも広げた今、 課題研究でも部活動でも外部での活動でも、一生懸命に失敗を恐れずやり抜くことがあらゆるコンピテンシーの成長にもつながるということを私たち教員がしっかり理解し、生徒の多様なチャレンジを応援する。また、それらによる生徒の変容をしっかりと外部指標である「Ai GROW」や「数理探究アセスメント」で捉え、ポジティブに評価し、生徒のさらなる成長につなげる。そんな学校にしていきたいです。