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2022.07.14

【活用事例】自身の成長の客観的な把握がメタ認知と自己成長の促進につながる(神奈川県・洗足学園中学高等学校)

活用事例 中高一貫教育校 特性把握 メタ認知 各教育活動の効果検証 面談 女子校 成長の把握

洗足学園中学高等学校_高橋先生画像_

 

 

自身の成長の客観的な把握がメタ認知と自己成長の促進につながる

 

本校では「Ai GROW」を不確実・不安定なこれからの時代を生き抜いていく子どもたちにとって必要な力がどのように身に付いているのかを定点観測するだけでなく、生徒のメタ認知能力の向上を支えるツールとしても活用しています。

「Ai GROW」導入前から行事や活動の記録は別の会社のシステムを使って記録していましたが、「Ai GROW」によって「この活動を通してこの能力が伸びた」といったように活動の「成果」も併せて記録できるようになりました。これにより、生徒はより主体的に、そして目的意識を高く持ってポートフォリオの記録ができるようになったと感じています。

初回受検の際、生徒にはコンピテンシーの重要性とともに「『Ai GROW』の受検はダイエット前の体重測定と同じで、自分の現在地を知るための機会である」と伝えました。

コンピテンシーを伸ばすためにも学力を高めるためにも、自分を俯瞰しながらメタ認知能力を高め、自分自身をコーチングしながらPDCAサイクルを回していくことがとても大事です。そのため、大きな行事の前後で「Ai GROW」の受検を実施し、能力の変化を客観的に把握できる機会を設けるようにしています。

これにより、行事ごとにどのような活動を行い、それらの活動が自身のどんな能力の成長につながるのか、高い精度で振り返りができるようになったと思います。また、この振り返りはその後の行事や活動の教育効果を高める上でもとても重要です。

さらに、コンピテンシーを伸ばすため、2021年度は中3の生徒たちに放課後や休日を利用し、学校外のボランティア活動やセミナーにも積極的に参加してもらいました。そして、「なぜその活動に参加したのか」だけでなく「参加した前後で自分のどの能力がどう変化したのか」を自分の言葉で発表させる場を学期ごとに設けたのです。この発表の際には「Ai GROW」で計測しているコンピテンシー名を使って、「今回の経験によって、課題設定力を伸ばすことができた。ただ、今の自分にはまだ表現力が足りないので、次の活動ではもっと周囲に分かりやすく伝えることを意識しながら表現力を伸ばしていきたい」といったように報告してもらっていました。

生徒が自らの成長をしっかりと言語化できるようになった一方、どうしても抽象的な表現も残ります。そこで、「Ai GROW」で計測するコンピテンシーに対する理解を深め、コンピテンシーの成長をより加速させるためには「ルーブリックで評価を行うこと」「各コンピテンシーについて具体化・抽象化しながら言語化できること」が必要だと考え、以下のような授業を行いました。

まず、生徒たちが評価者となり、日本経済大学スピーチコンテスト事務局が主催する「全日本留学生 日本語スピーチコンテスト」の留学生のスピーチを聞かせ、ルーブリックを見ながらそのスピーチの評価を行わせました。声の大きさや発音の良し悪しよりも「スピーチの中身(メッセージ性)が重要である」ことに気付かせるためです。

そして、「Ai GROW」のコンピテンシーをしっかりと言語化できるように、「Ai GROW」で計測しているコンピテンシーのうち7つ(創造性、論理的思考、自己効力、表現力、柔軟性、影響力の行使、地球市民)を選び、そのうちの1つのコンピテンシーを評価するためのルーブリックをチームごとに作成してもらいました。

これらの活動(具体化・抽象化・言語化)も生徒たちのメタ認知能力の向上に寄与したと思っています。

その成果の一端が発揮されたのが校長面接の時です。高校進学を間近に控えた中3の冬、生徒は校長との面接に臨みました。その際、どの生徒も「自分にはこんな強みがある。その強みを生かして将来〇〇をしたい」というように、自分を俯瞰しながら自身の強みを具体的に話すことができたのです。これも「Ai GROW」のおかげだと思っています。

すべてのコンピテンシーが高いということはなく、能力の凸凹は個性であり、凸凹は他者との協働の中で互いに補い合い、学内外の活動に積極的にチャレンジすることで個性をさらに磨いていくことが大事だと考えています。そのためにも自身の個性を客観的に把握しながら他者の強みを意識するような相互評価の機会は欠かせません。今後は既存の行事や課外活動を再構築する際に、今まで以上に「どんなコンピテンシーを伸ばすのか」「そのためにどんな改善を図る必要があるのか」を意識していきたいと思います。