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【活用事例】SSHの定量的事業評価を支える「数理探究アセスメント」

清心中学校・清心女子高等学校

【活用事例】SSH事業の成果を定量化する「数理探究アセスメント」が研究開発の加速に貢献

SSH事業の成果を定量化する「数理探究アセスメント」が
研究開発の加速に貢献

 

本校は、岡山県倉敷市にある私立の中高一貫併設型の女子校です。2023年に創立137年目を迎えた伝統校かつ県内で唯一の女子校として、今後もこの歴史をさらにつないでいきたいと考えています。2006年にはSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、「次世代を担う科学技術系女性人材教育のデザイン」をテーマに課題研究を推進。女性の理系人材が少ないとされる日本において、中高一貫の体系化された学びがこの課題の解決にどう貢献できるのか実証しています。

 

SSHでは事業評価に定量的なデータを示すことを求められるため、本校ではこれまでアンケートに加え、学校独自に作成した「リサーチ・リテラシー・テスト」を実施してきました。このテストは、本校がSSH事業で育成を目指す資質・能力として定義している「研究力=リサーチ・リテラシー)」のうち、「読む力」「書く力」「課題発見力」「データ分析力」「情報整理力」を測るものです。

 

例えば、だるま落としのおもちゃを利用した実験に関する文章を読み、その実験の目的や変数を回答したり仮説を立てたりする問題、プラスチックごみが深海汚染に与える影響についてまとめられた記事を読み、その影響や対応を記述させる問題、データを分析させるような問題もあります。大人でも難しい問題もありますが、SSH事業の事前事後で実施すると課題研究を通した生徒の成長を確認することができました。


しかし、「ある物事を前にしたとき、適切な課題が設定できるか」ということ、そして「柔軟な発想力、科学的な文脈における創造性などが身に付いているか」などはこのテストでは追いきれない、という課題感も抱えていました。いい方法がないかと情報収集していた時に出会い、昨年度からこれまでの取り組みに加えて導入したのがIGS社の「数理探究アセスメント」です。

 

「数理探究アセスメント」は、本校が育成を目指す「研究力」にも直結する「課題設定力」「実験計画力」「考察力」「創造力」のスキルとその変容を本校内の相対評価にとどめず、他校と横比較可能な形で定量化することができます。202212月に実施した初回受検の結果を見ると、特に理系の生命科学コースの生徒が「課題設定力」や「実験計画力」のスコアが高く、高2の生命科学コースの生徒の「創造性」が特に高いこと、学校全体としては「考察力」にやや課題があるということが分かりました。同時期に受検したSSH事業に参加していない生徒を含む学校全体の平均値も分かるため、本校における理数教育やSSH事業の強みや課題が可視化され、それらを明確に把握できたことは非常に大きな意味があります。

 

 

「課題設定力」や「実験計画力」の成長にはSSH課題研究のカリキュラムやその事前学習が影響を与えているのではないか、高2の生命科学コースの生徒はSSH事業のなかで新たに設けた学校設定科目「アートサイエンス」の授業を履修しているため、そのなかで学び得たものの見方や考え方が「創造力」の向上に寄与しているのではないか、といった考察ができるようになったのは生徒の資質・能力の成長を定量的に把握できるようになったからであり、SSHの事業評価の材料として「数理探究アセスメント」は有用だと感じています。

 

今年度も「数理探究アセスメント」を引き続き活用し、スコアの推移をより詳細に追いながら検証を重ねていきます。また、「数理探究アセスメント」の受検結果を面談でフィードバックしたり、成績評価の材料として組み込めるかどうかなども検討したりするなど、SSH事業の推進にとどめることなく、活用の幅を学校全体に広げていきたいと思っています。

 

リンク:
学校法人ノートルダム清心学園 清心中学校清心女子高等学校
https://www.nd-seishin.ac.jp/

【セミナーレポート】第22回 生徒の資質・能力の育成とその適切な評価の実現に向けて(岡山 / 清心中学校・清心女子高等学校 田中先生)はこちら