資質・能力の可視化により探究型学習の指導と評価の一体化を実現
制作物(レポートやポスターなど)を中心とする従来のパフォーマンス評価に加え、「Ai GROW」によって探究を通した資質・能力の成長を可視化できるようになり、本校独自の探究の評価方法を確立することができました。
グループで探究した成果をまとめた制作物を評価する際、生徒個々を評価することが困難であったこと、また、コンピテンシーの成長や変容の把握が主観的であったことから、同じテーマで探究に取り組むグループの生徒同士で相互評価をする「Ai GROW」を導入しました。これにより、探究を通して身に付けさせたい力を客観的な指標で定量化・可視化できるようになり、前述の評価方法の確立にいたったわけです。
探究における「テーマ設定」「中間発表」「成果発表」を経て、生徒に「Ai GROW」を受検させましたが、探究を通して変容したコンピテンシーを明らかにすることができ、われわれ教員は「意図して伸ばすことができた力」「意図せず伸びた力」「意図したが伸ばせなかった力」を整理することができました。
「Ai GROW」には、従来のいわゆる「見える学力」の評価にとどまらず、生徒のさまざまな資質・能力とその成長の可視化・定量化によって、生徒や教員が探究による成長や探究の効果を具体的に認識するためのツールとして大きな期待を寄せています。今後は、探究における教員の指導・支援を通して「育成できた力」の可視化を続け、指導と評価の一体化を実現しながら教育活動のさらなる充実を図っていきたいと考えています。
また、生徒には自らの強みや成長を多面的かつ客観的に把握しながら、自己肯定感を高めていってもらいたいです。多様な資質・能力に着目し、生徒個々に応じた指導や支援の充実した教育を展開・発展させていけたらと願っています。
■IGS担当者からのここがポイント!!
熊本県立宇土中学校・宇土高等学校では「Ai GROW」を2年生のSSHクラスの生徒を対象にご活用いただいております。昨年度(2021年度)、SSHクラスの生徒の研究発表を拝見しましたが、各研究テーマに対する視点は、興味深く好奇心をくすぐられるものでした。「Ai GROW」の評価データからも生徒の特徴や傾向として「創造的思考力」の高さが確認でき、当初から先生方が想定されていた探究の目的が成果として定量化されたことで、プログラムの改善に向けた検討が具体的にできるようになったようです。
リンク:熊本県立宇土中学校・宇土高等学校