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【探究への道 第54回】増田有貴先生(阿賀野市立水原中学校)

探究への道バナー

「強くしなやかに」未来をひらく。「自己の生き方につながるような探究的な学び」の創造を目指して


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増田有貴先生




白鳥の飛来地で育む「強くしなやかに困難を乗り越える力」

本校は、白鳥の飛来地として有名な新潟県の瓢湖から約2kmの場所にある創立66年、全校生徒472名の中規模校です。冬は、上空を行き来する白鳥を教室から眺めることが風物詩となっています。教育目標「未来を創造する知性 豊かな心 健やかな身体」の下、未来をひらく意欲と能力の育成を目指しています。総合的な学習の時間の大枠は年間学習計画で決まっていますが、生徒の興味・関心や問題意識を基に、創意工夫しながら授業づくりを行っています。

1学年主任として、これからの未来を切りひらいていく生徒たちに願うのは、「予期せぬさまざまな変化や困難に直面しても、強くしなやかに問題を乗り越える力(レジリエンス)」を高めてほしい、ということです。そのためのヒントとして、学年朝会で生徒に以下の5つのポイントを紹介しました。

1. 見通しをもち、起こりうることに備える。
2. ピンチになったときには、誰かを頼る。
3. 見方・考え方を変える(発想の転換)。
4. 違うやり方でやってみる(複数の選択肢をもつ)。 
5. 柔軟に自分を適応させる。

これは普段の「在り方」だけでなく、探究の学びにも有効な考え方です。「『なぜ?』『知りたい!』『やってみたい!』『どうしたらいいの?』という興味・関心や疑問、問題意識など、日常生活や社会の中でわき上がってくる思いを、粘り強く追求し続ける」「他者から学び、刺激を受けながら、教科等の学びとも関連付け概念形成を広げるとともに、柔軟に自分を適応させ試行錯誤する中で、『自己の生き方につながるような探究的な学び』を自分自身の手で創る」これが探究活動などで育みたい生徒の姿です。

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▲「探究って何?」と題した授業の様子。



「地域探究×SDGs」で深める探究のサイクル

そのために、3年間の総合的な学習の時間で重視しているのは「地域や世界に触れる実体験や出会いの場(人・もの・こと)」「多様な他者との対話・協働の場」「探究のサイクルを生徒自身で回そうとする場」「試行錯誤しながら課題解決する場」「リフレクション(自己との対話)の場」です。中学1年生は、小学校で経験しているSDGsや地域学習をさらに発展させるために、「郷土について考えよう! 地域探究×SDGs」を今年度の年間テーマに設定しました。総合学習を軸にカリキュラム・マネジメントをしながら、新潟巡検(上級学校訪問)、環境学習、防災学習、国際理解と、多様な学びの場を設計しました。

1年間のおおまかな学習内容は下記の通りです。
<5月〜7月>
・探究学習オリエンテーション
「小学校の総合学習を振り返ろう」「SDGsを通して世界を見てみよう」「探究ってどういうこと?」
・新潟巡検に向けて「探究テーマを設定しよう」「情報収集し、探究テーマに迫る質問を考えよう」

<9月〜12月>
・新潟巡検(探究班別の上級学校訪問、水族館での海洋環境学習)
・まとめ学習「オンリーワンの学びを整理し、レポートにまとめよう」
・地域環境学習「ハクチョウたちに選ばれたまち、阿賀野市・瓢湖からエコネットの輪を広げよう!」佐藤伸彦氏(公益財団法人 日本生態系協会)による講話・・・道徳授業「ソーセージの悲しい過去」「『生物多様性』を知ろう」「自分の地域の『宝』って?」との接続

<1月〜2月>
・防災学習「土砂災害・津波災害から命を守るには?」
・国際理解・国際交流「私たちと世界のつながり」アフリカからのJICA留学生5名との交流・・・英語授業「Unit8 Think Globally, Act Locally」、道徳授業「むこう岸には」との接続

授業写真3新潟巡検「自動車とSDGsの関係は?」を学ぶ_page-0001
▲新潟巡検(上級学校訪問)にて、「自動車とSDGsの関係は?」を自動車大学校にて学ぶ様子。



教科横断的なアプローチと「問い」による学習の質の向上

中学1年生にとって、今年度は「探究との出会い」の年です。「単なる体験や活動、調べて終わり」など、その場限りの学習にならないよう、教科等との接続を意識するとともに、生徒の学びを深める問い掛けや気づきを促す視点を毎時間の授業に散りばめました。例えば、上級学校への訪問に向けて質問を考える際は「班員の興味・関心、問題意識に合っているかな?」「探究テーマとの関わりは?」と問い掛けることで、生徒は吟味し直し、現地での学びがより充実したものになったようです。

また、約150名の生徒一人ひとりの興味・関心や学びの視点がおもしろく、互いに刺激になると考え、まとめレポートは学年の廊下一面に掲示しました。休み時間になると、1年生だけでなく、他学年の生徒や職員も足を止めてじっくりと読んでいました。地域環境学習や国際理解・国際交流授業は、事前に道徳授業で生物多様性の大切さや、異文化との向き合い方などについて、じっくり思考したため、生徒はこれまで当たり前だった地域の自然環境を見つめ直したり、異文化理解の意識をもって他者との関わりを楽しんだりする姿が見られ、まさに「知る、考える、行動する〜Think Globally, Act Locally〜」の体現となりました。生徒数が多く、総合的な学習の時間の時数が限られていることもあり、ダイナミックな活動はできませんが、1年間を通して、個々の生徒が自己の生き方につながるような学びを得ることができたのではないかと思います。

授業写真2朝日新聞を読みながら自分の興味・関心を班員に共有[修正版]_page-0001
▲生徒の活動の様子。朝日新聞の記事の中から自分の興味・関心を持った事柄を班員に共有。



教員間の対話が創り出す、魅力的な探究の場

学年全体の探究学習を設計する際、学年の先生方との対話は欠かせません。「何を目的として、その学習材に出会わせるのか」学習や活動の意義の共有、創造的・柔軟に生徒とともに学びを創る意識、生徒の主体性を尊重する姿勢、さらに、個々の強みを持ち寄り探究の場づくりを楽しむなど、共通認識でいることで、前年度踏襲ではない魅力的な教育活動が創造できると学びました。「予期せぬさまざまな変化や困難」は授業づくりにおいても多々あります。そんなとき、私たち教員自身も連携・協働しながら「強くしなやかに」問題を乗り越えていきたいものです。

 
阿賀野市立水原中学校
http://suibara-jhs.agano.ed.jp/