【探究への道 第35回】大村寛之先生(和歌山信愛中学校・高等学校)

10年の探究の歩みと新たな挑戦
大村寛之先生 和歌山信愛中学校・高等学校
この記事から分かること
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10年前に先駆的に探究型学習を導入したきっかけ
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やりがいや生きがいを感じる人生の基盤を築く「Key Girl育成プログラム」
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生徒の興味を出発点とする新たな探究コース「iコース」の挑戦
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探究型学習を推進するうえでの外部連携の重要性
10年前に探究的な学びを導入したきっかけ
本校は、和歌山市内にあるカトリック・ミッション・スクールで中高一貫の女子校です。「一人ひとりがかけがえのない大切な存在であることを認めるとともに、そこに集うものが互いに信頼し、一致する」という意味が込められた「一つの心 一つの魂」という言葉をモットーに教育活動を展開しています。規律や礼節を大切にし、他者を思いやることのできる心優しい生徒が多い、落ち着いた雰囲気の学校です。
探究的な学びに取り組んで10年が経過しましたが、そのきっかけは卒業生に対する「与えられた仕事に対して不満も言わず取り組んでくれる」という企業の方の評価から「卒業生が社会で都合の良い存在になっているのでは?」と感じたことでした。生徒の主体性や積極性を育みたいと思うようになり、探究的な学びを導入することにしました。
やりがいや生きがいを感じる基盤を築く「Key Girl育成プログラム」
現在は文部科学省や三菱みらい育成財団からの支援を受けて、「和歌山発! 地域の未来を拓く鍵となるKey Girl育成プログラム」と名付けた探究プログラムを高校全体で実施しています。「主体性」「多様性理解力」などの育成を目指すこのプログラムですが、さらに根底には、生徒が「やりがい」や「生きがい」を感じる人生を歩むための基盤を築きたいという思いがあります。
重視しているのは「チャレンジを通して得る充実感」です。コンテストなどへの応募はもちろん、高校2年生の「グローバル探究」では自らヒントを与えてくれそうな団体や企業にアプローチする「自分で創るフィールドワーク」という活動を取り入れています。人数は限られますが「自分たちの当たり前は世界の当たり前ではない」ことを体感する海外研修も実施。成果ではなくチャレンジしたという「事実」を評価する雰囲気を大切にしています。変化を恐れず創意工夫で現状をより良くしていこうという姿勢を身に付け、社会への貢献の視点を忘れず自分の人生をしなやかにたくましく切り開いていける人材の育成を目指しています。
生徒の興味を起点とする「iコース」の新たな挑戦
少しずつ改良しながら進めてきた探究プログラムですが、「学校側が設計したプログラムだけで生徒の興味に本当の意味で寄り添っているといえるのか?」という根源的な問いが生じ、2022年度に生徒の興味・関心を出発点とする新たな探究を行う「iコース」を立ち上げました。自由なテーマに対する指導の不安はありましたが、全てのテーマに指導ができるわけはないと正直に割り切り、教員も伴走者として楽しみながら運営しています。
探究型学習の推進を支える外部の力
この記事をご覧になっている先生方は、生徒の主体性や生き生きとした変化に触れ、それを後押しし、その学びをさらに推進したいと思っていらっしゃるのではないかと推測します。しかし多くの困難や摩擦に接し、救いやヒントを求めていらっしゃるのではないでしょうか。私も何度もそのような場面に遭遇し、いまだ探究が盛んではない和歌山では疎外感にさいなまれることもあります。
しかし、そんなときに自分を支えてくれるのは「外部との交流」です。最初に相談するときは緊張しますが、親身に相談に乗り、もてるものを惜しみなく提供してくださる全国の先生方や学外の協力者の方々とのつながりにより、勇気づけられ、再び前に進むことができています。もし本学の取り組みが参考になるのであれば私自身も喜んでお話をさせていただきたいと思っており、ぜひその一歩を踏み出していただきたいと思っています。このような探究を探究する先生の姿が、生徒への説得力にもなると信じています。
文部科学省地域協働事業グローカル型(本学HP)
https://shin-ai.wakayama.jp/kyodo/
文部科学省地域協働事業グローカル型(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/1420961_00006.htm
和歌山発! 地域の未来を拓く鍵となる「Key Girl」育成プログラム(三菱みらい育成財団HP)
https://www.mmfe.or.jp/partners/1643/
23年度活動報告
https://youtu.be/YVHt6rLp9Sc