トップへ
【活用事例】自分と向き合い未来を切り拓く力を育む

昭和鉄道高等学校

【活用事例】自分と向き合い未来を切り拓く力を育む

自分と向き合い未来を切り拓く力を育む

 

社会で活躍することを見据えたアセスメント

東京都豊島区にある本校は、日本で唯一、校名に「鉄道」が付く学校です。「自律」「創造」「共生」を教育理念に掲げ、実践的な学びを通て、その名の通り、運転士や車両保守などといった鉄道関連の仕事へはもちろん、大学進学を含む多彩な進路へと生徒たちを送り出しています。

 

就職を選ぶ生徒の割合が高いため、職業適性を測るアセスメントは以前から活用していましたが、生徒一人ひとりの強み適性があまり見えてこないことに課題を感じていました。複数のサービスを比較検討し、2024年度から「Ai GROW」を導入。導入の最大の決め手は相互評価の存在です。自己評価だけでなく他者を評価すること、他者から見た自分をしっかりと把握できることは、評価の客観性や信頼性の観点だけでなく協働や対話の観点から高い学習効果が期待できます。評価する領域だけでなく、評価方法も含め、生徒が社会で活躍することを見据えた唯一無二のサービスだと感じました。また、信頼性と妥当性が高いビッグファイブ理論に基づいた気質診断ができること、年間何度でも受検できるにも関わらず、想定内の費用に収まったことも校内で導入検討を進めるうえで大きな後押しとなりました。

 

 

生徒との面談やコミュニケーションを支える「後ろ盾」

現在は、各クラスの担任がクラスの様子を見ながらそれぞれ受検結果を活用しています。例えば私のクラスでは面談に活用していますが、真面目で他やクラス全体を積極的に助けてくれるような生徒については誠実さが高く出るなど、クラスメートの強みしっかりと評価できていること、また、その強みを具体的な能力名で生徒に伝えられるようになり、嬉しく思っています。また、将来に関する話をするときも、感覚や経験値だけに頼らず、エビデンスを基に、向いている職業や強みの生かし方を提案できるようになりました。例えば「誠実さ」は高いものの「決断力」はまだ未成熟の生徒の場合は、運輸より技術の職種の方が向いている可能性もあります。本人の希望や興味はもちろん重要ですが、そのようなことを知れば、少なくとも新しい職種に興味をもち、その職種について調べるきっかけになります。もしかしたら、それが天職との出会いかもしれません。私自身、担任をもつのが4年ぶりであったこともあり、自分の感覚だけでなく客観的なデータという後ろ盾を得ながら生徒と話ができるのはとてもありがたいと感じています。

 

▲生徒キャリアについて話をする冨田先生 

 

また、生徒との面談やコミュニケーションの場面以外でもデータを活用し始めています。先日、グループ・ディスカッションを行うためのグループ分けで「Ai GROW」のグルーピング機能を使ってみました。積極的な生徒、控えめな生徒、まとめ役になりそうな生徒などが各グループにバランス良く配置され、その後の話し合いもスムーズかつ活発的になど、データ活用の効果を再認識しました。本校ではグループで活動をする機会は多いですから、生徒のさらなる成長を後押しするため、今後もこのグルーピング機能を積極的に活用していきたいと考えています。

 

すべての生徒が自分なりの正解にたどり着くために

にも付属品の振り返りシートを使いながら受検結果の振り返りを行い、今度の目標設定をさせたというクラスや、「Ai GROW」の受検結果を参考にしながら自身の長所に関する作文を書かせてみようと計画するクラスもあります。各担任が、良いと思ったことはまず自分で試し成果が見られたアイデアはお互いにすぐ取り入れています。その中で本校なりのより良い活用の形がこれから見えてくるのかもしれません。今後は担当学年だけではなく学校全体での「Ai GROW」活用、教育目標に関わる資質・能力の成長の可視化、キャリア教育でのより積極的な活用につなげていきたいと考えています。

 

就職の道進む生徒が大半ではありますが、生徒を希望の企業・職種に就かせることが本校のゴールではありません。就職という選択肢がほとんどない進学校とは違い、本校の生徒は自分自身と時間をかけて向き合い、自分が本当にやりたいこと、向いていることは何なのか、また、希望する職種は高校卒業後でもすぐに就ける仕事なのか、大学に行く必要があるのかということもじっくり考えます。もちろん、鉄道が好きな生徒が集まってはいますが、実践を通して学びながら、最終的には「鉄道は趣味でい」と考える生徒も出てきます。さまざまな道があり、あらゆる仕事があり、唯一の正解はありません。数年前には踏み込めなかったこのような領域まで手を伸ばし、生徒たちにより良いサポートを提供するためには「Ai GROW」の存在必要不可欠です。生徒が自分自身とより深く向き合うことをサポートするツールの一つとして、これからも「Ai GROW」を大いに活用していきたいと考えています。