トップへ
【活用事例】「自ら学び続ける力」を後押しする成長とプログラムの効果の可視化

常葉大学附属橘中学校・高等学校

【活用事例】「自ら学び続ける力」を後押しする成長とプログラムの効果の可視化

「自ら学び続ける力」を後押しする成長とプログラムの効果の可視化

 

多様な資質・能力を伸ばすカリキュラム刷新

本校は「自ら学び続け、自らの幸せを感じる生徒」「時代の変化に挑戦し続け、地域・社会に貢献できる生徒」をグラデュエーション・ポリシーに掲げる静岡県にある私立中高一貫教育校です。外部進学を目指す生徒も多い英数科では、時代の変化や大学入試の変革を受け、従来の学力にとどまらず、多様性・協働性・思考力・判断力・表現力育成を目指すカリキュラムに刷新しました。

 

その際「学びに向かう意欲を向上させるには、教材を与え環境を整えるだけではなく、内発的な動機付けが必要なのではないか」という考えから日常生活における数学などさまざまなテーマを通して課題設定や課題解決のプロセスを体験する「タチバナクエスト」や、地元企業と連携し「持続可能な静岡」の実現を目指す探究プログラムなどを導入。概念を理解するだけでなく、学びをアクションにもつなげていくサイクルを通じて生徒の力を伸ばすことを目指しています。

 

従来の学力とコンピテンシーをバランスよく高めるための英数科のカリキュラム

 

 

プログラムの効果と生徒の成長の「見える化」

しかし、さまざまなプログラムを導入しても、それらがやりっぱなしの状態では意味がありません。特に、協働性など可視化が難しいコンピテンシーの育成を目指したプログラムについてはなおさらです。取り組みが生徒のどのような成長につながっているのか、生徒プログラムを体験したことによる自身の成長を言語化し将来の目標に具体的につなげていけるように、そして教員プログラムのさらなる改善につなげていけるように、プログラムの効果を生徒の成長や変容の観点で定量的に把握することが必要だと考えるようになりました。複数のアセスメントを比較検討しましたが、協働的な取り組みが多い中で互いを一番近くで見ている友人同士で相互評価ができることと、年間いつでも何度でも受検可能で翌日には結果を確認できるという使い勝手の良さが決め手となり、「Ai GROW」を導入することにしました。生徒が結果を確認する個人レポート内容が分かりやすく、生徒が自身でしっかり振り返りを行える点も決断を後押しした要因の一つでした。

 

2024年現在、「Ai GROW」導入から3年目を迎えますが、地元の企業や店舗とも連携した探究活動を進める、協働性の成長だけでなく、自己効力も上がっていくことが確認できました。実際に生徒の様子を見ていても、探究活動でうまくいかなかった際、原因を考えずに終わるのではなく、改善を図るための次のステップを自分たちで考えられるようになるなど一歩一歩たくましく成長していると感じます。プログラムの効果はもちろんですが、コンピテンシーの成長を定期的に確認できるようになったことで、「成長できた」という小さな達成感をたくさん集められるようになったことがこうした成長を支えていると思います。

 

 

生徒同士による相互評価の効果

また、控えめでグループワークが得意ではないタイプの生徒が友人から強みを評価してもらうことで自信をつけるなど、相互評価の効果もさまざまなシーンで見られるようになりました。社会に出れば他者との協働は不可欠。生徒が自身の強みや課題、さらに他者の視点を早くから意識できることは、社会で活躍していくうえで大きなアドバンテージになるはずです

 

さらに、探究などによる成長を客観的かつ定期的に振り返ることができるようになったことで、「この成長は、外部との連携でさまざまな経験を積んだからかな」「この力が下がったのは、ちょっと人任せにしてしまったところがあったからだと思う」など、自身の変容とそれに影響を与えた経験とを結び付けながら自己分析する声が聞こえるようにもなりました。われわれ教員も生徒一人ひとりにデータに基づいたアドバイスを行うことができるようになり、これまでよりも一歩踏み込んだ生徒とのコミュニケーションが増えました。

 

IMG_4686

▲地域のイベントでブースを出展する生徒たちの様子

 

 

グラデュエーションポリシー実現に向けて

従来の学力では進学実績という目に見える成果の示し方がありますが、協働性などのコンピテンシーはどのくらい伸ばせているのかと目に見える形で示すことが難しく、これまでは目指す姿やプログラム内容の提示にとどまっていました。しかし、学校として育成を目指す能力それぞれどのように伸びているのかを定量的に把握し、そのデータを学校としてしっかりと発信できれば、地域や外部組織からさらなる協力を得られたり、生徒募集などにおいてもより説得力のある説明ができたりするはずです。

 

受検後の効果的な振り返り方法の確立、教員のデータ活用の拡大、得られたデータの外部発信など「Ai GROW」で取り組みたい課題は山積みですが、「Ai GROW」によるさまざまなプログラムの効果や生徒の成長の可視化は「自ら学び続け、自らの幸せを感じる生徒」の育成に向かって進む私たちを少しずつ後押ししてくれています。生徒が、変化する時代にあっても自らの力で未来を切り開いていけるよう、これからも成長をサポートしていきたいと考えています。