生徒理解の促進と自己肯定感の向上を支える強み発見ツール
本校は東京都中野区にある私立中高一貫校です。2007年に「物事を論理的に考え伝えることのできる力=理数的思考力」と「人と人とをつなぐ力=インター」を育むことを目的とした「共学部理数インター」を設置し、従来の女子校を「女子部」として2部門併設の共学校となりました。「知的で開放的な広場」として生徒にダイナミックな経験を提供し、最後まで自己ベストの更新に向けて努力できる姿勢とそれを支える自己肯定感の向上を大切にしています。
この理数インターで「総合的な探究の時間」をスタートさせるに当たり、探究型学習で成長を期待する資質・能力を可視化し、教員の実感値と突き合わせることで、より良い評価を実現できないかと考え「Ai GROW」を導入しました。複数の会社のアセスメントを検討しましたが、360°評価が「Ai GROW」導入の最大の決め手となりました。人は誰しも、さまざまな顔を使い分けています。友人に見せる顔と教員や保護者に見せる顔は必ずしも同じではありません。探究活動中はもちろん、学校生活の中で仲間とどのように関わり行動し、それを仲間でどのように評価しているのか、われわれ教員には見えない一面を把握できてこそ、意味があると考えたからです。また、受検後すぐに結果を確認できる点も導入を決める大きなポイントになりました。
最初の受検は4月。新入生は入学間もない時期であり、在校生もクラス替え直後の時期ですから、この段階で相互評価を行うことは難しいですが、気質診断と自己評価の実施は可能です(相互評価は6月頃に実施)。気質診断によって生徒の特性を、自己評価によって自信不足傾向やその逆の傾向を示す生徒を年度はじめのタイミングで把握することができ、クラス運営や生徒指導の一助となっています。生徒たちと時間を過ごすうちに、4月に得られたデータと自分の目で見た生徒の姿とが重なり、生徒理解の解像度が徐々に上がっていくのを実感しています。受検を重ねる中、各生徒の高いコンピテンシーだけでなく、伸びたコンピテンシーもチェックし、私たちに見えていなかっただけかもしれない強みや成長などを自分の実感値と照らし合わせながら確認しています。
面談では保護者にも個人レポートを通じて「Ai GROW」の受検結果を共有。クラスの友人からの評価を知ることで、家では見られない子どもの一面を発見できたり、小さい頃から変わらない一面を再確認できたりと、保護者にも興味を持って見ていただいています。日々、我が子に接する中でどうしても欠点やできないことに目がいってしまうこともあると思います。強みとその成長を共有するだけでなく、子どもへのマインドセットを定期的に見直すきっかけとして、これからも「Ai GROW」の受検結果を保護者にも確認していただこうと思っています。
生徒も、自身の成長を数値で客観的に確認できることで、強みを認識し自己肯定感の向上にもつながっているように感じます。「Ai GROW」導入初年度から「自分のいいところを生かしていけばいいんだと思うようになった」と話す生徒も出てきて嬉しく思っています。キャリア教育プロジェクトで社会で活躍する方々を本校にお招きした際には、自身の得意や強みを生かして夢を実現し、社会で活躍するビジネスパーソンのお話を直接聞けたことで、強みとその成長を把握する「Ai GROW」の重要性を再認識できたようです。
また、本校では、心理的安全性やグロース・マインドセットの状態を確認できる「Ai GROW」傾向チェックテストも併せて導入しています。心理的安全性が保たれていない生徒ほど、それを人に伝えることができません。自律的な学習を支える自己肯定感の傾向も人それぞれ。見逃してはいけない生徒を見逃さないためのセーフティー・ネットとして活用し、声掛けやサポートを行っています。
このように教員・保護者・生徒それぞれに新たな視点をもたらしてくれている「Ai GROW」。データ分析をさらに進め、グロース・マインドセットやコンピテンシーが生徒の成長に与える影響について理解を深められたらと考えています。学力との相関分析なども行えたらいいですね。自分を認め、自分の強みを知り、それを生かして目標に向かって努力できる。これからの社会にはばたく子どもたちに不可欠なこの力を育むため、今後も「Ai GROW」を活用しながら生徒たちと深く向き合っていきたいと思っています。
リンク:
宝仙学園中学・高等学校
https://www.hosen.ed.jp/