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【活用事例】コンピテンシーベースの教育と、生徒による主体的な進路選択を実現(追手門学院大手前中・高等学校)

追手門学院大手前中・高等学校

【活用事例】コンピテンシーベースの教育と、生徒による主体的な進路選択を実現

多面的かつ多角的な評価の実現に向けて「Ai GROW」を導入した追手門学院大手前中・高等学校。生徒による主体的な進路決定に「Ai GROW」がどのような役割を果たしているのか、同校の福島哲也先生にお話を伺いました。 


多面的な評価を大切にし、生徒に自信を持ってほしい

 

「Ai GROW」の採用を決めた一番の理由は、多面的かつ多角的な評価を実現させるためです。

本校では、生徒一人ひとりの個性を大切にしながら卒業後の進路を生徒自らが自信をもち自分らしく選択できるようなサポートを行っています。

それに対し、これまでの生徒の評価はテストの点数や成績だけでした。これでは生徒が主体的に進路を決めることは難しいと感じ、生徒のさまざまな面が評価できる「Ai GROW」を導入しました。

また、「テストの点数を上げる」「学力を高める」ことばかりに注力する文化も変えていきたかったというのも「Ai GROW」導入のきっかけの一つです。実は、「Ai GROW」とは別に、他校の先行事例などを参考にしながら本校独自の教科別ルーブリック作りも進めていました。「Ai GROW」と教科の評価には関連性のあるものもありますし、教科の評価は高くなくても「Ai GROW」の受検結果を基に他の強みや成長を評価することで、生徒にモチベーションを与えることもできると思っているので、うまく併用していきたいですね。この点からも学校・教師側だけでなく、生徒にとってもたくさんの評価軸があった方がよいと思っています。

 

育成したいコンピテンシーを「Ai GROW」で定量化する

2019年の10月からトップダウンや一部の先生だけの意見にならないよう、教師全員で話し合いを行い、2020年度から「探究力」という学校で伸ばしたいコンピテンシーを定めました。何よりも教師全員で決めたというのがポイントですね。先生方の大切にしたい思いや目標が詰まっていますから。

【活用事例】追手門学院大手前中・高等学校_写真2同校で2020年度より掲げている「探究力」

これを授業だけでなく、学校行事、部活動など、学校生活のすべての場面で伸ばしていくことを常に意識しています。「For me」「For you」「For us」と大きく3つのカテゴリーに分けられていますが、この3つの中心になるのが、「探究力」です。授業においても、「ここを伸ばすために、この課題に取り組んでいるんだよ!」と生徒に伝えています。「Ai GROW」によって、この「探究力」の成長やそれを促すための取り組みを適切に評価できるのもいいですね。

私が担当する数学の授業では、個別型の学び・対話型の学び・プロジェクト型の学びを通して、知識の習得・活用・探究を行っています。教科で探究課題を「パフォーマンス課題」として出していますが、これは1点刻みの評価は難しいです。そのため、ルーブリック評価やフィードバック評価を行いますが、「Ai GROW」の受検結果にも成果は現れるのではないかと期待しています。先日、高校1年生が数学Ⅰで三角比について学習をはじめ、「空を飛ぶ飛行機の速度を計算で求めよ」という課題を出しました。三角比を使って、必要な距離を求め、驚くアイディアを発表してくれる生徒もいました。単なる知識があればよいのではなく、「Ai GROW」だからこそ可視化できることもあると思っています。

 

指導の後ろ盾となる、頼もしいツール

「Ai GROW」の受検結果から新たに発見できたことはたくさんあります。

例えば、内向的で周りと話すことが少ない生徒でも、自己評価が高く、自分にしっかりと自信を持てていることが分かりました。私の目から見ても実力があることは明らかでしたが、「どうしたら花開くのだろう」と思っていたところでした。その生徒の魅力を周りにどのように示していけばよいのかについてその生徒とじっくり話し合っていこうと思っています。

また、「Ai GROW」管理画面上のクラスマネジメントの機能で、どの生徒に重点的に声掛けすべきかということも可視化できるので、担任の先生にとっては生徒とのコミュニケーションや生徒指導において大きな後ろ盾にもなりますね。

【活用事例】追手門学院大手前中・高等学校_写真3 (1)▲「Ai GROW」クラスマネジメント機能による「リーダーシップ」のマッピング。
構成要素に分けてプロットされることで課題が明確になる。

本校では、「Ai GROW」の受検結果を三者面談の時間で、必ず触れるようにしています。特に保護者が強い関心を示すケースが多いと担任の先生方から聞いています。

次回の受検に向けた目標を設定できる生徒もいれば、受検結果の説明をしてそれを聞くだけで終わるような生徒もいますが、成長は人それぞれ。これからも生徒一人ひとりと向き合って行くつもりです。

面談の際、「Ai GROW」の個人レポートにある「業界別コンピテンシーモデル」が話しの中心になる生徒もいるんですよ。目指す職業で活躍するためのコンピテンシーと、自身の高いコンピテンシーが一致していている、いない、という話題で盛り上がるようです。

【活用事例】追手門学院大手前中・高等学校_写真4▲「Ai GROW」個人レポートでは、業界・業種別に特にどのようなコンピテンシーが求められているかも確認可能。
将来の夢に向かってどんなコンピテンシーを意識すればよいのかが分かる

また、担任の先生は自分のクラスのデータを見ながら思い思いに分析しているようです。「思った通りや」や「この子はここに位置する結果になっているのか!」なんて会話が職員室で聞こえてきますね。今後はクラスごとの目標設定や各生徒に適した目標設定にも生かしていきたいと思っています。

ある先生からは、「将来の夢を明確に持っている生徒の方がフィードバックをしっかり見る傾向にある」と報告を受けました。理想の自分があるけれど、それを実現させるためにはどうしたらいいのかと具体的に考えることができるからでしょうね。

まだ具体的な夢や目標が定まっていない生徒には、「Ai GROW」でさまざまな強みや成長を客観的に把握させながら、「わくわくセンサー」を刺激していきたいと思っています。

 

自分の強みを知ることで意思決定の場面で選択肢を増やしてほしい

「Ai GROW」は、1年間に複数回受検ができるので、生徒の学力以外のさまざまな能力の変化や成長を定期的に可視化できるのもよいですね。生徒はそれぞれ変化や成長のスピードと方向性は違いますので、それも可視化できるのは大きいです。また、生徒には「他者評価」という経験から、みんなそれぞれ違う特長や長所があるということを、身をもって知ってもらえたら、と思っています。学力やテストの点数の違いではなく、クラスメイトなど友人と自分の強みや魅力の違いを理解して卒業してほしいですね。学校としても、生徒に進路を単一的な軸ではなく、多様な軸で検討してもらえるような環境を作っていきたいと思っています。

こうした中で自分の幸せを定義し、進路を主体的に決めてもらえることが「探究力」のゴールになるのだと信じています。