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【第42回】2025年2月配信 佐藤知道先生(横須賀学院中学校高等学校)

探究への道バナー

探究の設計と構築にフォーカスし、実際にカリキュラムをデザインされた先生方に実践をご紹介いただいています。

今回は、横須賀学院中学校高等学校(神奈川県)の佐藤知道先生にご担当いただきます。

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本校は、1950年にかつて帝国海軍の拠点であった地に「教育は希望」という確信の下、平和と民主主義の社会を担う若者を育成するために創立された、小・中・高を擁するキリスト教学校です。「敬神・愛人」(神を敬い人を愛する)を建学の精神とし、生徒一人ひとりの存在が価値あるものとして、互いを尊重し合い、愛をもって他者を受け入れることができる人として成長することを願っています。

本校では、2016年度から全学センターとして科学教育センターを設置し、生徒の探究的な学びを支援しています。科学教育センターは、小・中・高を横断し、課外の学びの機会の提供と充実を目指す機関として、「大学や専門機関と<つながる>」「専門知と<つながる>」「地域と<つながる>」ー3つの<Link>―を大切に、そのハブとしての役割を担っています。また、「科学」を自然科学に限定せず人文科学や社会科学なども含めた広い意味での学知として捉え、児童・生徒に教養教育の機会を提供し、知的探究の豊かさと深まりを支えています。

科学教育センターが提供する学びの中心となっているのは、「横須賀学院セミナリオ」と称する放課後や長期休業期間を利用した課外プログラムです。大学の授業時間に合わせて90分間の講座で、講師として大学の先生や研究者、企業の方などを招いています。また、センター運営委員の教員が、普段の授業から離れて独自の専門領域に関わる講座も開講。他にも、休日や長期休業を利用したフィールドワークや、大学・研究機関などを見学して研究者から直接指導を受ける日帰り型のプレカレッジプログラム、数日間にわたって実施される宿泊型のサイエンス・キャンプなどもあります。これらを総計すると毎年70〜100講座を開講しています。

「横須賀学院セミナリオ」は、「総合的な探究の時間」とも連携しています。教育課程内の「探究」では、発展的活動としてセミナリオなどへの参加を促し、課外のセミナリオなどにおける学びを「探究」を通して深め、整理。自らの問いを見つめて考え抜く力を培い、考察した内容を他者と分かち合う力を養います。セミナリオの中には「課題探究型セミナリオ」として、一つのテーマの下、学期単位、1年単位でシリーズとして実施されるプログラムも運営しており、生徒が複数回の講座を通して問いに出会い、資料を分析・考察し他者と共有し合うまでの一連のプロセスを体験できる機会を設けています。特に「支えることを仕事にする」や「看護医療職の多面的理解」、「『隣人となる』ことをめぐってー共生のための理論と技法」などは、キリスト教学校である本校ならではの視点も取り入れつつ、生徒のキャリア選択につながる探究です。

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▲ セミナリオの活動の様子

いずれのプログラムも任意参加のため、卒業まで一度も受講しない生徒もいますが、自らの意思で参加する生徒の意欲はとても高く、深い考察につながっていると感じます。昨年度から生徒の「セミナリオ委員」を希望者で組織し、講座の企画運営に携わってもらったり、広報活動を担ってもらったりするなど、生徒が主体的に関われる場を増やしています。中には、高校生主催のディスカッション・イベントである、「かながわ・ゆめ・みらい」の運営メンバーに加わり、他校生徒と協働しながら活動している生徒もいます。先述の3つの<Link>のハブとして、これからも生徒のさまざまな学びの機会と場をつないでいきたいと思っています。

横須賀学院中学校高等学校
https://jhs.yokosukagakuin.ac.jp/

「かながわ・ゆめ・みらい」
https://kanagawa-yume-mirai.my.canva.site/