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【活用事例】「数理探究アセスメント」でSSHとして不可欠な探究の客観的評価を実現

神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校

【活用事例】「数理探究アセスメント」でSSHとして不可欠な探究の客観的評価を実現

「数理探究アセスメント」でSSHとして不可欠な探究の客観的評価を実現

 

本校は2022年度より文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定され、「未来の担い手として、他者と協働して課題解決に導く科学的探究力を備えた人材の育成」に取り組んでいます。学びの柱となっているのが「総合的な探究の時間」と「情報」を融合させた学校設定科目「緑の探究」です。入学から3年間にわたり、課題研究に基礎から体系的に取り組み、学びを深めています。

 

探究活動については、SSH指定校として教育効果を定量的に示す評価手法の開発が不可欠です。2年生までは「情報」の内容と課題研究への取り組みを総合的に評価していますが、課題研究のみに取り組む3年生の評価の方法に頭を悩ませていました。そんなときに出会ったのが「数理探究アセスメント」です。過去に出題された実際の問題を見てすぐに、「生徒たちはこうした問題にどんな回答をするんだろう」と興味がわきました。いくつか他のアセスメントとも比較検討しましたが、選択式の問題だけでなく、記述式の問題や量的記述問題など、問題のバリエーションが豊富である点、他校の結果と横の比較ができる点に惹かれて導入を決定。実施後、アセスメントの結果を「緑の探究」の評価の参考として活用できればという思いもありました。

 

 

▲「数理探究アセスメント」の過去問題の一例と生徒の回答例。
他にも選択式、点数配分式などさまざまな種類の問題がある。

 

「緑の探究Ⅰ」では、大学や企業などの外部機関と連携して,共通テーマである「水」について探究活動を行います。「緑の探究Ⅱ・Ⅲ」では、教員がテーマを与えたり、連携機関からテーマのヒントを助言してもらったりするのではなく、生徒自身が興味をもって考えを発展させることを重視して課題を設定します。教員はそのためのサポートや声掛けを重点的に行っています。生徒はどのような課題を設定すべきか時間をかけて悩み、試行錯誤し、途中で課題を設定し直すこともあります。「数理探究アセスメント」で他校と比べ「課題設定力」が高く、「創造力」も高いレベルの生徒が多数であったことは「緑の探究Ⅱ・Ⅲ」での取り組みの成果が表れているのではないかと嬉しく思いました。

 

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▲「緑の探究」に取り組む生徒たちの様子

 

「数理探究アセスメント」を「緑の探究」の評価の参考とするに当たり、まず、探究活動に携わる教員で分担しながら各生徒の回答とレベルを確認しました。受検結果に添付されている解説書には各問題の評価基準も明示されているので、評価の足並みを揃えることができます。さまざまなタイプの問題の中から量的記述問題や選択式問題などを中心とする複数の問題を評価の参考としました。生徒ははじめて経験する形式のテストに少し戸惑った様子はありましたが、過去の問題を受検前に演習していたこともあり、特に混乱は見られませんでした。

 

いずれは「探究力」をより定量的に評価する方法を校内で開発して普及することを目指していますが、「数理探究アセスメント」を導入したこと、その結果の確認を教員間で連携して行い、最適な評価方法を検討できたことはとても良い機会となりました。また、SSH指定校を含めた他校との横の比較ができること、継続的な活用により生徒の成長を縦に比較し確認できる「数理探究アセスメント」の導入メリットは非常に大きいと思います。

 

教科書に書いてあることを覚える従来の学びとは違い、自分で課題を設定し、研究し、アウトプットする探究的な学びは、生きる力へとつながります。また、「アイデアを形にする」達成感を高校生のうちに味わうことに意義があると考えています。もちろん、これは探究活動が教科として位置づけられていなかった時代にも行事や学校生活全体を通して行っていたことです。だからこそ、「緑の探究」の授業は堅苦しくなく、楽しんで取り組めるものに、生徒がさまざまなきっかけから自分で可能性を膨らませていけるものにしたいと考えています。生徒によって設定する課題も違う中、評価にまつわる悩みは尽きませんが、生徒一人ひとりの成長を多面的に見取ることができるより良い評価を実現するため、これからも試行錯誤していきたいです。

 

リンク:
神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/y-midorigaoka-h/