【セミナーレポート】国際機関 アジア開発銀行 スキルフォーラムから見る教育の未来
IGSはこの秋、アジア開発銀行の教育に関する年次イベントである「第10回ADB国際スキルフォーラム:デジタル化と気候適応型の人間と社会の発展の新時代」(2023年10月17-19日、フィリピン・マニラのアジア開発銀行本部にて開催)に招待を受け出展。今年はじめて本フォーラムに導入された「クラスデモンストレーション」では、「Ai GROW」ご採用校である岡山市立操南中学校の竹島 潤先生にご登壇いただき、「Ai GROW」受検後の個人レポートと管理画面を活用した振り返り、そこから目標に定めた力を伸ばすためのマインドセットまでの授業をご紹介いただきました。
また、代表の福原はゲストとして、UNICEFやカンボジア教育青年スポーツ省など各国からのゲストと共にトークセッション「Adopting Tech-inclusive Approaches to Learning Quality, Assessment, and Reforms to Scale-up Education Access(学習の質、評価、教育アクセス拡大のための改革への技術包括的アプローチの採用)」に登壇。AI時代に生徒の非認知能力を育成することの重要性と、そのためには現状と成長の可視化が不可欠であること、「Ai GROW」では相互評価にAI補正を加えて客観的な評価が実現可能であることをお話しし、満員の聴衆から多くの関心を寄せていただきました。
福原の目には、教育の今、そして課題がどのように見えたのでしょうか。
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AI時代に国境を超えて重視される非認知能力育成
今回、現地参加700名程度、オンライン参加1500名以上というこのような大きな場に招待していただき、トークセッションへの登壇やサービス紹介の機会をいただいたことを本当にありがたく思っています。
今回のフォーラムを通してとても印象に残っていることのひとつは、ChatGPTなどAIの進展のスピードが早いことから、アジア諸国においても非認知能力教育がますます重視されるようになりつつあるということです。大きな意味での人格教育、人としての魅力度や多様性を高めていくことが、本当に重要になってきています。ChatGPTなどの進化を目の当たりにし、これまで存在だけは知っていた非認知能力とその育成が、しっかりと取り組むべき課題として再認識されたということではないでしょうか。
実際、今回のフォーラムで、弊社のブースには多くの方が訪問され、アジア太平洋各国の政府関係者の皆様などとご挨拶させていただきました。プレゼンテーションやクラスデモンストレーションも立ち見が出るほど満員の聴衆にお集まりいただきました。非認知能力育成の重要性と、そのためには現状を知り、目標を定めて成長を確認するためのアセスメントが不可欠であるということを多くの方々にお伝えできたことは、大きな成果だったと考えています。
▲UNICEFやカンボジア教育青年スポーツ省など各国からのゲストと共に登壇したトークセッションの様子
▲「Ai GROW」に関するカルーセル形式プレゼンテーション
(サービスに関するプレゼンテーションを6回実施し、参加者がプレゼンテーションスタンドを回遊する形式)
▲「Ai GROW」採用校の岡山市立操南中学校の竹島 潤先生による授業デモンストレーション
一方で、さまざまな国の方々とお話する中で、課題は生徒の能力育成だけではなく、先生方の育成にもあるということが再確認できました。今までの、大人数クラスを対象に一方向の教育に慣れすぎている先生方の意識をまず変えていく必要があり、その対応に思ったよりも時間がかかるのではないかということです。弊社としても、アセスメントだけでなく、先生方を対象としたサポートやプログラムを提供していくことの重要性を感じています。また、通信や機器が十分でない国や地域からいらした方々から現状をうかがい、そのようなエリアを取り残さず非認知能力育成を進めていくための方法の検討も、私たちに課せられた課題の一つと捉えています。
世界の教育トレンドの2本柱
今回のフォーラムで大きく印象に残っていることのふたつめは、フォーラム全体のオープニング基調講演が、ハーバード大学のフェルナンド・レイマーズ教授による「Shaping New Directions for Education Delivery and Education Reforms for the Digital and Green Economy(デジタルとグリーン経済のための教育提供と教育改革の新たな方向性の形成)」であったことです。世界の教育トレンドは今、「デジタル」と「グリーン(環境)」の2本柱なのです。日本では特に、デジタルシフトに論点が集中しがちですが、海外ではデジタルシフトとともに環境変動について子どものころから教育していく必要性が叫ばれています。
弊社は、答えのない課題解決に起業家として挑むシミュレーション教材である「社会実装シミュレーション型プログラム」にて、MaaSを題材に電気自動車やリチウムイオンなどグリーン教育に不可欠なテーマ、そして数学やアートなどSTEAM教育コンテンツを盛り込んでいます。また、これまでESGに関連する360度評価のルーブリックを開発し、弊社の「GROW」で計測したコンピテンシーとの関係性を分析するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。この世界のトレンドは大きな追い風になると感じています。また、グリーンという観点では、私たちは地球という棲みかを共有する、バックグラウンドや知識量の異なる多くのステークホルダーと分かり合い、協働していく必要があります。AIがいくら発達しても、理解し合い、力を合わせ、人を動かすのは人に残された領域。そしてその営みを支えるのは、やはり非認知能力なのではないでしょうか。その育成を支える「Ai GROW」の価値を再認識しました。
360度評価を実現した「Ai GROW」の価値と使命
今回このような大きな機会をいただけたのは、相互評価とそのうえで避けられない評価のブレのAI補正により子どもから大人まで一貫した360度評価を実現し、それを教育現場に持ち込んだ「Ai GROW」の圧倒的な商品性が評価されたことが大きかったのではないかと考えています。フォーラムで実際に目にした反響も含め、世界で戦えるサービスであるということを、改めて実感しました。
帰国後も、フォーラムでお話した方々や新たなお問い合わせなど多くの反響をいただいています。少しでも多くの国へ、そして一人でも多くの子どもたちへ「Ai GROW」をはじめとするサービスをお届けすること、そして常にサービスの意義や世界のトレンドを鑑みながらより良いサービスを永続的にお届けしていくことが、これからのデジタルシフト・グリーンシフトの時代の中で生きる子どもたちのためにIGSができることだと考えています。これからの私たちの挑戦に、ぜひご期待いただければ幸いです。