トップへ
【活用事例】自分と他者を知ることで主体的な学びと探究が深まる

十文字中学・高等学校

【活用事例】自分と他者を知ることで主体的な学びと探究が深まる

自分と他者を知ることで主体的な学びと探究が深まる

 

本校は1922年創立の歴史ある私立女子中高一貫教育校です。「自彊不息(自分を鍛えることをやめない)」の建学の精神の、主体性とともに先の見えない社会を自切りく力育成を目指しています。探究型学習には学校全体で力を入れていますが、特に高校では2022年にPBLProject Based Learning)を軸に週4コマを探究に充てる「自己発信コース」を新設。私は現在、同コースの学年担任を務めています。

 

探究に重きを置く「自己発信コース」は中間試験を廃止し、探究のプロセスや探究に取り組姿評価重視しています。ここで課題になるのが、従来のペーパー・テストでは測ることが難しい思考力、判断力、表現力、主体性などといった資質・能力の変容の評価です。教員の主観に頼らずこれらの資質・能力を適切かつ公平に評価するためにAi GROW」をはじめとする複数のアセスメントを活用しています。

 

 ▲探究活動を進める生徒たちの様子

 

複数のアセスメントを併用する中で感じる「Ai GROW」の強みは、やはり相互評価の存在。人によってメタ認知や価値観も異なる中、自己評価だけでは評価にバラつきが生るのではないかと疑問をもっていましたが、 探究を一緒に進める複数の友人から評価を受け、評価の際の甘辛やバイアスの補正まで行われるAi GROWであれば、その影響を極小化できるのではないかと考えています。また、実際の「Ai GROW」の結果を見ると、多くの時間をともに過ごしながらお互いの人となりを見ているクラスメート同士の相互評価は、一人の教員の見取りよりも信憑性が高いと感じます。生徒同士が前向きに批評し合えるこの仕組みを継続していければ、互いを主体的に高め合える集団を目指せるのではないでしょうか。それはまさに本校が目指している学校の在り方そのものです。

 

さらに、「Ai GROW」では計測できる各コンピテンシーがはっきりと定義され、個人レポートでもその定義が分かりやすくされています。受検と振り返りを通して各コンピテンシーが生徒と教員の共通言語となってきたことで、面談や声掛けをより効率的・効果的に行うことができるようになったと感じています。例えば終業式の日には短い時間で成績表を渡して声掛けを行う必要がありますが、時間がなくても生徒の成長に着目し、その成長を支えた行動などについて一緒に振り返りを行うことができるようになったのは、この共通言語のおかげです。今後は、生徒だけでなく保護者との面談にも積極的に活用していきたいと思います。

 

現在、「Ai GROW」は学期ごとに受検を実施。 教員向けの管理画面ではエクセルなどの加工をせずとも個人だけでなくグループ全体の状態や成長を確認することができ 生徒個人や集団の成長を把握したり プログラムの効果検証を行ったりするうえ非常に使いやすいです。これまでは複数のプログラムの実施時期に重なりがあったことで個別のプログラムの効果検証にはまだ活用し切れていませんが、今後は効果検証も念頭に置いたプログラム設計を行い、さらに活用を進めていきたいと考えています。

 

本校ではAi GROW」と合わせて探究による数理科学的なものの見方・考え方の成長計測する「数理探究アセスメント」も活用しています。探究を推進・深化させるうえで不可欠な一方、評価が難しい課題設定力や考察力などの成長をスコア化できることが導入の決め手でした。私自身も試しに受検してみましたが、問題が非常に面白く夢中になって取り組めるだけでなく、このアセスメントで可視化される力こそこれからの時代に生きる生徒たちに育みたい力だと強く感じました。探究に意味を見出す先生方であればあるほど、一度取り組んでみれば「まさにこういう問題を作りたかった」「こういう評価を必要としていた」とその価値を実感されるのではないかなと思っています。

 

受検後の生徒たちからは「思っていたよりできなかった」という声が多く聞かれ、現状を見つめ直す良い機会にもなったようです。探究をこれだけ多く実施するコースにいると、生徒は何となく探究ができる気になってしまいがち。目に見える形で成果を比較する機会が少ないこともあり、教員のアドバイスを自分事化させることが難しいと感じていました。しかし、「数理探究アセスメント」では各生徒の探究スキルがスコア化されるだけでなく、本校と同時期受検した他校の平均スコアと比較できる探究の評価軸が理解できる解説書なども入手できます。スコア、生徒自身の回答、解説書を並べて見ながら振り返りを行うことで、「課題設定が甘いって言われていたのはこういうことを指していたんだよ」「解説書のこの部分を見てもう一度考えてみて」など具体的なアドバイスを行うことができるようになり、生徒たちもより自分事としてそれを聞くことができるようになったと感じています。アセスメントを活用し、一歩進んだ振り返りを行った生徒たちの探究がどのように深まっていくか、今後がとても楽しみです。

 

アセスメントを通して自分と他者を見つめ、その結果を糧に自らさらなる成長を目指す。それを支える「Ai GROW」と「数理探究アセスメント」は本校の目指す主体性の育成において大きな意味をもつツールとなりつつあります。生徒たちが未来を切りく力を備えたチェンジメーカーとして羽ばたいていけるよう、これからもツールを活用しながら彼らの学びを全力でサポートしていきたいと考えています。

 

リンク:

十文字中学・高等学校
https://js.jumonji-u.ac.jp/