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【活用事例】さいたま市教育委員会:「Ai GROW」を活用した部活動の教育効果の可視化について

さいたま市教育委員会

【活用事例】「Ai GROW」を活用した部活動の教育効果の可視化について

※本記事は2022年7月28日に開催した「自治体向け IGS教育フォーラム 2022夏」の講演内容を基に作成しています。

 

講師:さいたま市教育委員会 高校教育課 主席指導主事 根岸君和先生

 

「Ai GROW」を活用した部活動の教育効果の可視化について

 

さいたま市では平成31年3月に、地元スポーツ団体、地元企業、ICT企業、大学と運営母体となるさいたまスポーツコミッション、そして清水市長によって「さいたまスポーツシューレ連携協定」を締結しました。企業、大学、団体などが持つ最新の知見や技術を活用した実証を行うなど、新たなスポーツ産業の成長の場を創る取り組みです。市内のスポーツ施設群を中心に、市内の宿泊、飲食、研修施設などをネットワーク化することで、民間力を最大限に活用しています。

 

EdTechの活用で「スマート部活動」の実現を目指す

令和元年度、スポーツシューレ事業の一環として、運動部活動の教育的意義の可視化と、効率的かつ効果的な運動部活動のあり方の調査研究をさいたま市立浦和南高等学校でスタートさせました。株式会社NTTデータ経営研究所との共同研究で、スポーツ文化局の所管となります。運動部活動のトレーニングに加え、アプリなどのEdTechツールを活用するアプローチにより、生徒のコンピテンシーがどう向上するのかを数値化し、可視化するという事業です。現在は教育委員会所管で「スポーツを科学する生徒の育成事業」として取り組んでいます。本実証事業のミッションは、教育における主語を「先生」から「生徒」に変えること。特に、生徒が主体的に考えて取り組む「スマート部活動」を実現し、生徒がスポーツを探究的に学び、実社会で新しい価値を見出す力を育成することを目指しています。スマート部活動の推進によって、時間や場所を選ばず、部活動に必要なデータを全員で共有できるようになると考えたのです。また、生徒の自主的・効率的な活動が促進されることや、生徒の戦術理解や技術習得の時間が短縮されることにより、指導者の負担軽減も期待されます。

効率的な指導、データに基づく個別最適化された多様なトレーニングの実践など、新しい部活動のあり方を探究するなかで、児童・生徒の思考力や表現力などといったコンピテンシーを成長させる運動部活動の「指導法モデル」を作成しようと考えています。 

 

運動部の生徒の「思考力」が向上

取り組みのポイントは2点あります。1つ目は、部活動の教育効果を定量化してコンピテンシーの成長を可視化すること。2つ目は、スポーツとデータを組み合わせて導入効果を可視化し、より効果的な部活動のあり方を探ることです。検証のためのツールとして、コンピテンシーの評価ツール「Ai GROWと、映像による課題分析ツール「SPLYZA TEAMSを採用しました。

 Ai GROW360度評価によるコンピテンシー評価と気質診断によって、生徒の能力の成長と教育活動の効果を最大化するツールです。25のコンピテンシーを可視化でき、受検結果は受検後すぐに確認することができます。「Ai GROW」の客観性が担保された児童・生徒の成長を多面的に把握できるデータによって、部活動の教育効果を限りなく正確に検証できるようになります。実証事業の効果検証は生徒へのアンケートや感想から判断することが多いと思いますが、これではアンケート作成者の願望や生徒の思い込み、忖度が入ってしまいます。

浦和南高校での実証には、「全国高等学校サッカー選手権大会」出場12回、全国優勝3回の実績を誇るサッカー部とともに、女子バスケットボール部が参加しています。2年目からは男女ハンドボール部に加え、市立中学校の運動部にも取り組みを広げました。「Ai GROW」の受検結果から運動部の生徒の思考力(論理的思考)に向上が見られ、部活に入っていない生徒については減少傾向が見られました。

本市でデータの利活用を通した実証事業を行うことにより得られた教育的価値は、「Ai GROW」の受検データを基に生徒が自分自身やチームの能力を俯瞰的に捉えることで、生徒がメタ認知の視点をもつことにあります。

  

小中高が「縦に連携」して研究を継続

実証事業の結果を広く伝えようと、2022年1月、小中高など市内166校を対象に成果報告会を実施し、活用したEdTechツールを提供する事業者からの説明、成果報告、およびモデル校5校の先生方からの発表を行いました。また、当時、経済産業省サービス政策課長・教育産業室長であった浅野大介氏から指導助言をいただき、筑波大学の鍋倉賢治先生、木塚朝博先生にもご参加いただきました。

実証事業に取り組んだ市内の高校1校、中学校2校、小学校2校の計5校については、1つのグループにまとめ、3年間にわたって研究しています。小中高が連携しながら縦のつながりを生かすことで、理解をより深めていくことができるのではないかと思っています。