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2024.03.14

【イベントレポート】ユネスコ World Conference on Culture and Arts Education 2024サイドイベント:音楽教育のもたらす効果

セミナーレポート

unesco

 

音楽教育の効果の可視化が公教育への質の高い音楽教育の普及を支える

 

IGSはこの2月、ユネスコのWorld Conference on Culture and Arts Education 2024(ユネスコ文化芸術教育世界会議にサイドイベントのオーガナイザーとして参加しました。今回のサイドイベントにはコロンビアでの日本型音楽教育導入に関する事業で協業するヤマハ株式会社と合同で日本から唯一選出され、UNESCO Chair for Musical Mastery and Contemporary Performing Arts (Russian Gnesins Academy of Music) International Music CouncilThe National System of Youth and Children's Orchestras and Choirs of Venezuelaとともに「The Benefits of Music Education(音楽教育のもたらす効果)」をテーマに提言を行いました。

 

世界における芸術・音楽とその教育効果はどうとらえられているのか。そして、芸術教育による成長の可視化は何をもたらすのか。ヤマハ株式会社の大竹様とIGS福原による振り返りをレポートにまとめました。

 

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IGS福原:

今回、世界193か国が加盟するユネスコの文化芸術教育世界会議にサイドイベントのオーガナイザーとして選出いただいたのは、非常に名誉なことでした。また、世界最大の楽器メーカーであり、これからコロンビアでの日本型音楽教育導入に関する事業で協業させていただくヤマハ株式会社様とともに参加でき、日本の音楽教育の素晴らしさを全世界にアピールできたことも大変光栄に感じています。

 

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▲サイドイベントでのプレゼンテーションの様子(IGS福原)

 

カンファレンス全体としては音楽だけでなく芸術全般がテーマとなっていましたが、一貫していたのは、文化こそが人間社会の根本である、そしてそれらに関する教育が最も重要であるというメッセージです。近年、その発展が話題となっているAIについても、人間の行動を支えるのは文化であり、その行動がデータを生み出す。AIはそのデータを分析するツールであるということが主張されていたのが印象的でした。

 

サイドイベントでは私たちは、グネーシン音楽大学、ベネズエラの音楽教育システム「エル・システマ」の事務局、ユネスコ設立の国際音楽評議会(IMC)とともに「音楽教育のもたらす効果」に関する提言を行いました。世界各地で異なる観点で活動する4団体(ヤマハ株式会社×IGSを含めて)が共同でイベントを行ったことにより、音楽教育による認知・非認知能力の開発、音楽教育が人と人をつなぎ、社会を変える力、そして誰も取り残さず音楽教育を提供していくことの重要性について、より力強く厚みのあるメッセージを発信することができたと考えています。

 

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▲サイドイベントを共催した各団体代表者との記念撮影

 

サイドイベントでのヤマハ株式会社様とIGSのメッセージのパートでは、音楽教育には「非認知能力」と呼ばれる創造性、表現力、感情理解など、子どもたちの内面的な成長を促す力があること、それらを音楽教室や公立・私立学校における音楽教育を通して育んできたヤマハ株式会社の取り組み「スクールプロジェクト」をご紹介しました。そしてIGSの提供する非認知能力を可視化することでその成長を支える評価ツール「Ai GROW」が、この大きな可能性と意義をもつ音楽教育の質を効果的に高めるテクノロジーであることをお伝えし、大きな関心を寄せていただきました。このカンファレンスには各国の政府当局の方が多く参加されていましたが、政策の評価に活用したいというお声もいただき、「Ai GROW」の可能性を再確認し、とても嬉しく思いました。

 

 

ヤマハ株式会社楽器・音響営業本部AP営業統括部音楽普及グループ大竹様:

はじめに、今回のユネスコ会議サイドイベントへのオーガナイザーとして参加することに声をかけて頂いたIGS様に感謝致します。

 

会議は、デジタルトランスフォーメーションや前例のない人類のモビリティなどの進展と、貧困、健康、拡大する不平等、気候変動等の課題がCOVID-19によりさらに悪化し、教育・文化の領域に新たな困難がもたらされている、という現状認識の上でスタートしました。そのような状況を持続的に改善していくための創造性や批判的思考、イノベーションを培うこと、また将来の不確実性や危機に対処するためのレジリエンスを強化するためにも、周辺領域とも関連付けながら、文化・芸術教育において一生涯に渡り教育を享受できる持続可能なエコシステムを構築することの重要性が最終日に発信された「UNESCO Framework for Culture and Arts Education」で採択されました。その中で、AIやデジタル技術が果たすべき役割や、エビデンスに基づいた政策決定の必要性についても触れられていましたが、それはまさにIGS様と当社がこれから行う取組であり、改めて実施する意義を再確認できました。

 

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▲サイドイベントでのプレゼンテーションの様子(ヤマハ株式会社 為澤様)

 

IGS様との取組を通じ、日本型音楽教育による「非認知能力」成長への影響を可視化し、音楽教育ひいては音楽そのものの啓蒙に繋げていければと思っています。

 

 

IGS福原:

本イベントの実施を通して、芸術・音楽教育のもたらすものの大きさを、そしてその効果をさらに効果的に高めるツールとしての「Ai GROW」の価値を改めて実感しました。ヤマハ株式会社様とは、コロンビアの事業を皮切りに、スクールプロジェクトの海外展開においてさらに協業を進めていく予定です。世界の子どもたちへ、より質の高い音楽教育を届けるために。ヤマハ株式会社様とIGSの挑戦に、ぜひご期待ください。