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【活用事例】「Ai GROW」とともに歩むコンピテンシー・ベースの教育への道のり

作成者: Ai GROW 運営事務局|May 16, 2024 12:30:00 AM

「Ai GROW」とともに歩むコンピテンシー・ベースの教育への道のり

 

 本校では2019年度に教育理念「独立自彊・社会有為」に基づき学校コンピテンシーを策定し、学校全体でコンピテンシー・ベースの教育へと舵を切りました。 その際、コンピテンシーを可視化するツールとして導入したのが「Ai GROW」。現在、導入5年目を迎えています。

 

 ▲独自のグローバルサイエンス教育によって育成を目指す資質・能力(学校コンピテンシー)

 

導入初年度学年ごとに可能なタイミングで受検を進めました。生徒のコンピテンシーが可視化され、スコア把握できるようになったことはもちろん大きな進歩ではありましたが、コンピテンシー・ベースの教育の実現に向けデータを継続的に蓄積していくことが重要です。そのためには受検のタイミングを合わせるなど、学校全体で足並みを揃えて計測・運用していくことが不可欠と考え、2年目からは教務部と連携しながら定期考査の時間割のなかに「Ai GROW」受検を組み込んでもらいました。同時に、「Ai GROW」に関する教員研修も開始。以降、年に2回は必ず「Ai GROW」の受検結果と教員の実感値を突き合わせながら課題や今後の方針を学年団で話し合う時間を設けるようにしています。また、教員に「Ai GROW」のデータに興味をってもらうために、コンピテンシーと定期考査の相関関係の高さを示すデータを紹介することもありました。

 

3年目からはクラスのコンピテンシーの平均とばらつきを確認することができる管理画面の「MVプロット」を活用してクラスと各生徒の状況からどのような声掛けが有効かを考えたり、「Ai GROW」で計測可能な25のコンピテンシーを組み合わせて学校独自で定めるコンピテンシーを可視化できる「学校コンピテンシー機能」を活用したりするなど、どうすれば学校全体で「Ai GROW」の結果をより負担なく効果的に活用できるかという課題に取り組んできました。また、この頃から「Ai GROW」のコンピテンシーを校内の共通言語として定着させることの重要性に着目し、生徒に関する教員同士の会話に盛り込んだり学年・学級目標の設定に活用したりするよう促してきました。さらに、教員研修でのクラスや学年の指導目標の達成度合いの振り返りにも「Ai GROW」のデータを活用しています。 

 

▲「平均」と「標準偏差」の2軸でデータを表示する、管理画面の「MVプロット」機能(サンプル)

 

 

このように試行錯誤を重ねながら活用を進め、現在導入5年目に入ったところですが、「Ai GROW」の受検結果が多くの教員の実感値と合っていることや、週4日間、授業終了後の25分間を使って授業の振り返りや個別面談を行う追手門モジュール」でもエビデンスを基に話ができるようになったこともあり、年度を重ねるごとに学校内での活用が少しずつ広がってきました。Ai GROW」はコンピテンシー・ベースの教育を支える不可欠な存在となっています。

 

段階を踏みつつ学校全体の取り組みにできたポイントはやはり、「Ai GROW」の受検を定期考査のスケジュールに組み込み、すべての学年で年3回、決まった時期に必ず受検を行っていく仕組みを作ったことまた、コンピテンシーを校内の共通言語にしようと促したことで教員の日常に「Ai GROW」を溶け込ませることができたことです。一人でも多くの教員が自分の言葉でコンピテンシーの重要性について語ることができる環境作りを目指してきたことは確実にこの変化の礎になっています。一方、この5年間で、コンピテンシーの重要性は理解しつつも、日々の教科指導や生徒指導に追われる中で教員のコンピテンシー重視への転換は思った以上に時間がかかるということも実感しました。「Ai GROW」を導入せず、自分たちの感覚や定性的な振り返りだけでコンピテンシー・ベースの教育の実現に向け取り組んできたとすれば、何をどう校内で共有し、指針としてやっていけばいか分からないままただただ年月だけが経っていたかもしれません。

 

生徒たちもこの5年間少しずつ変化してきました。受検後、「Ai GROW個人レポートを自ら確認して振り返りを行ったり、友人と結果を共有し合ったりしている姿からも、知識やスキルだけでなく、コンピテンシーを伸ばしていくことの重要性に注目してくれるようになってきているのではないかと感じています。実際、学外のコンテストに応募したり、学内のプログラムに参加したり、留学したりするなど、さまざまな活動に積極的に挑戦しようとする生徒も少しずつ増えています。

 

2024度からは、新たに「Ai GROW」のオプションであり、自身も意識していない潜在的な心理状態を可視化できる「傾向チェックテスト」も導入しました。新しい教員も増えるなかで、経験則に頼らずケアの必要な生徒を早期に把握できる点に魅力を感じています。また、本校でも近年拡大する総合型選抜入試を希望する生徒が増えていますが、中高時代のコンピテンシーの定点的な成長データが蓄積されているということは大きなアドバンテージです。すでに個々の教員によりそのような活用も進んでいますが、進路指導においても「Ai GROW」をより効果的に活用できる仕組みを考えていきたいと考えています。

 

コンピテンシー・ベースの教育という目標を掲げても、育みたいコンピテンシーが何なのか、それらはどういった資質・能力なのかを明確に示すことができなければ、あいまいな理解や異なる認識の基に取り組みを進めてしまうことになります。コンピテンシーを可視化できるだけでなく、その能力の定義もしっかりと明示されている「Ai GROW」は、本校においてコンピテンシー・ベースの教育を進める上で重要な測定ツールでもあり、教材にもなっています。「Ai GROW」によってコンピテンシーを概念として独り歩きさせず、地に足を付けた形で校内に浸透させられたことが今日までの挑戦を支えてくれました。これからも「Ai GROW」とともにより効果的な教育の在り方を追求していきたいと思っています。

 

 

リンク:

追手門学院大手前中・高等学校
https://www.otemon-js.ed.jp/

2022年9月「Ai GROW」活用勉強会
Ai GROW」の効果的な活用に向けた計画と実践(追手門学院大手前中・高等学校)
https://blog.aigrow.jp/article/20220825