高澤良輔先生
本校は1980年に創立されました。開校当初から「総合学習」の授業を教育課程に位置付け、建学の精神である「創造性の開発と個性の発揮」を実践する取り組みとして実施してきました。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)第Ⅰ期に指定された2004年度以降は課題研究の授業を設計し、探究学習を中心とした教育開発を行っています。
本校では、探究を中心とした教育活動全体で育成したい力を「SS(芝浦サイエンス)コンピテンシー」として整理しています。これらは「資質・能力の三つの柱」に対応するように構造化しており、学校として育成の見取りと支援ができる形にしています。具体的には、「知識・技能」と結び付く「研究基礎力」、「思考・判断・表現力」と結び付く「問題発見力」「問題解決力」、「学びに向かう力・人間性等」と結び付く「自律的活動力」です。さらに、これらを三つの下位因子に整理しています。
▲「SSコンピテンシー」の構造を表した図(同校HPより)
本校では、「SSコンピテンシー」の伸長を多角的な評価で確かめ、改善につなげることを重視しています。既存の心理尺度を基に作成した質問紙(信頼性・妥当性を検証し、年2回実施)に加え、探究成果の発表や論文作成などのパフォーマンス課題、リフレクションによる自己評価、保護者・卒業生アンケート、進路や参加実績など複数の指標で検証。そのうえで、高校の課題研究(「総合的な探究の時間」)と中学の「総合的な学習の時間」を軸に、通常教科の探究化や教科との有機的な接続も含め、正課内外のカリキュラム開発に力を入れています。
▲探究プログラムの概要図
SSH第Ⅲ期(2024~2028年度)の指定を機に、本校は学校設定科目「SS(芝浦サイエンス)」を全員必修として整備しました。これからの時代を見据えると、探究と情報活用能力は切り離せないという問題意識があり、高校1年次では「総合的な探究の時間」と「情報Ⅰ」を融合し「SSⅠ」として再設計しました。運営に当たっては、情報科の教員を含む探究科のメンバーを中心に据えつつ、当該学年団や各教科の教員も関わるチーム・ティーチング体制を構築し、生徒の探究を多様な視点から支えることを重視しています。
その結果、情報の授業で扱うデータの活用や情報デザインなどの内容が、従来「総合的な探究の時間」の枠の中で必要とされてきた探究プロセスに直結して生きるようになりました。さらに、「総合的な探究の時間」に当たる時間を、課題の設定や個別の対話、リフレクションの機会創出により重点的に充てられるようになってきています。課題はまだまだ多く残っていますが、本校では探究型学習をスクールマネジメントの一環として位置付け、学校全体で取り組むことを意識しています。そのうえで、異なる専門的背景をもつ教員がそれぞれの視点から関わり、生徒一人ひとりに即したやり取りができるよう心掛けています。
▲毎年2月に行われるSSH生徒探究発表会でのポスター発表の様子。
探究は「理念」だけで推進すると、現場が疲弊してしまうことがあります。まずは自校のミクロな課題(生徒・教員の実感や実情)と、マクロな要請(社会・政策的背景)を往還し、「この学校で、なぜ今やるのか」を言語化するところから始めるとよいかもしれません。そして、課題の設定やリフレクションの時間を確保し、生徒自身が自己の在り方や生き方に向き合う学びを大切にしていただきたいです。私は、それこそが大学や社会に出た後には得がたい、高校ならではの「探究」の姿だと考えています。
授業視察や情報交換等も歓迎しておりますので、ご興味がありましたらぜひ本校にお越しください。これからも全国の先生方と一緒に学び合えたらうれしいです。
芝浦工業大学柏中学高等学校
https://www.ka.shibaura-it.ac.jp/
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)プログラムについて
https://www.ka.shibaura-it.ac.jp/top/education/curriculum-high/ssh/