探究への道

【探究への道 第27回】水﨑悠樹先生(長野日本大学高等学校)

作成者: IGS株式会社|2023/10/31 15:00:00

生徒の「好き」を起点にした探究創造学科の学びと挑戦


この記事から分かること

  • 10のキー・コンピテンシーに基づいたルーブリックをベースにした「探究創造学科」の学び
  • コンピテンシーを伸ばす授業と生徒主体のプロジェクト学習
  • ゴールから逆算した授業設計と生徒の「好き」を起点とした学び


「探究創造学科」の新設とルーブリック策定

日本全国の先生方、こんにちは! 長野日本大学高等学校の水﨑と申します。

長野日本大学高等学校では、令和4年度に“探究創造学科”を新設し、探究的な学びに力を入れています。この学科は「自分の『好き』な分野で活躍し、社会に価値を生み出す人材」を育てることを目指しています。ここで学んだ生徒が「好き」を生業とし、社会に何かしらの価値提供をしていくことが、個人と社会、双方の幸福につながると考えているからです。また、それに必要となる10のキー・コンピテンシーを設定。ルーブリックに落とし込み、すべての授業をそのルーブリックに基づいて行っています。

▲探究創造学科のマスタールーブリック

基本的な学びの設計は、10のキー・コンピテンシーを伸ばすために教員が提供する「授業」と、すべての生徒が自分の「好き」に基づいて自由に立案・展開する「プロジェクト」を並行して実施していくこと。プロジェクトは計画から実施まですべてを生徒が自ら決定し、週最大8時間をかけて取り組んでいます。私自身も「だいぶ振り切ったカリキュラムだな」と思いながら日々教育活動に当たっています。


生徒主体のプロジェクト学習の進め方

プロジェクトは以下の3つの学校設定科目に沿って進めていきます。

1. ビジョン・ミーティング(仮説段階)

  • プロジェクトの目標や仮説を立て、活動計画を策定します。

2. コンソーシアム・ラーニング(検証段階)

  • 仮説の検証や目標に向けたアクションを一定期間重ねたあと、プロジェクトの進捗や学びなど、成長を振り返ります。

3. プレゼンテーション・ミーティング(発表段階)

  • 学びの成果を発表し、次の仮説や目標設定に向けた新たな視点を獲得します。

この3つのサイクルを繰り返し、社会への価値提供へと昇華させていくのが探究創造学科での学びです。


コンピテンシーを高めるための授業設計

プロジェクト活動を支えるための授業も重要な要素です。

例えば10のキー・コンピテンシーのうち「情報の編集力・発信力」を「与えられた情報を再編集し、プレゼンテーションを行うことができる」レベルに引き上げたいときには、「地元企業のホームページにある情報だけでその企業の魅力が伝わるようPRせよ」をテーマに「No.1プレゼンター」という授業を実施。テーマに沿った情報の再編集とプレゼンテーションに取り組ませました。

現在は、より高いレベルである「与えられた情報を相手や目的に応じて論理的に再編集し、効果的なプレゼンテーションを行うことができる」に引き上げたいと考え、「幼稚園の園児たちに向けて、これまでのプロジェクトの進捗を紙芝居形式でお話しせよ」をテーマに「MY PROJECT紙芝居」という授業を予定しています。

このように、コンピテンシーを高めるため、ルーブリックに沿って「相手や目的に合わせる」などといったような要素を加え、課題の難易度をあげていきます。


ゴールから逆算した学びの設計

授業を計画するうえで大切にしているのは、ゴールから逆算して学びを設計することです。

(1)育てたい生徒の姿は何か?

(2)その姿の実現に必要な資質・能力は何か?

(3)その資質・能力を高めるにはどんな活動が必要か?

教科学習のように履修しなければならない内容や使わなければならない教科書があるわけではないので、ゴールから逆算した授業設計が必要となります。

この「逆向き』設計は他の学校のカリキュラム設計にも転用が可能だと考えます。まずは「この地域に住み、この学校に通う、この子たちだからこそ」の育てたい姿を思い描き、そのために身に付けてほしい力を洗い出し、段階分けをする。最後に、「その力を身に付けさせるために必要な活動ってなんだろう?」と考えることで、学校オリジナルのカリキュラムが設計されていくように思います。


ゴールから逆算した学びの設計
生徒の「好き」を起点にした学び

また、プロジェクト学習の推進に当たっては、「生徒の想い」にしっかり寄り添ったテーマ設定こそ、学びを深めるために最も重要なのではないでしょうか。われわれは、「生徒の『好き』は、究極の内発的動機付けである」という仮説を持っています。学習者中心の「やりたい」「頑張ってみよう」から始まる「挑戦」無くして、学びは広まったり深まったりしないと考えています。

人的・物的・時間的なリソースには限りがありますし、できることは状況により違うと思いますが、本校の取り組みが少しでも先生方の学校の探究の設計や再構築の参考になりましたら幸いです。

 

 ※内容はすべて2023年11月当時の情報です。