探究への道

【探究への道 第16回】須藤祥代先生(千代田区立九段中等教育学校)

作成者: IGS株式会社|2022/11/30 15:00:00

やらされ感ゼロ!探究的卒業研究の実践

この記事から分かること

  • 生徒の「やってみたい」を起点にした卒業研究の進め方と工夫
  • 探究テーマの設定を支える自己理解ワークや教員の支援体制
  • 教科の学びと探究をつなぐカリキュラム・マネジメントの実践例


「体験から学ぶ」を軸にした卒業研究

本校では「総合的な探究の時間」において、体験を通して学ぶことを重視し、すべての生徒が個人で卒業研究に取り組んでいます。
この卒業研究では、生徒自身がテーマを設定し、文献調査やフィールドワークを行った後、中間発表を経て、その成果をもとに社会貢献活動(ソーシャル・アクション)へと発展させていきます。 


やらされ感をなくし、やる気に火をつける
 

卒業研究において最も大切にしているのは、生徒の「やらされ感」をなくし、内発的なやる気に火をつけることです。そのため、探究のテーマは生徒自身が決めます。

テーマ設定にあたっては、自分が何に興味を持っているのかを探る自己理解ワークや、学問分野への理解を深める活動を通して「問いづくり」を行い、テーマの妥当性を見極めていきます。
テーマがうまく進まない場合には、立ち止まり、再検討を行いながらサイクルを再構築します。 


担任+ゼミ教員による支援体制 

卒業研究の指導は、学年担任団に加え、ゼミの先生方も連携して行っています。
限られた時間で効果的に探究を進めるために、授業前には生徒用のワークシートや記入例だけでなく、指導案も事前に共有。ワークシートは、生徒の思考のプロセスや進捗状況を「見える化」するための重要なツールとなっています。

また、先生方にはファシリテーターやアドバイザーとして、生徒の主体性を尊重しながら支援していただいていますが、生徒が探究を主体的に進める中で自ら専門家にアポイントを取り、外部にインタビューに行くケースもあり、各生徒の進捗確認や外部とのやり取りのサポートも重要な役割となっています。


 「教科をつなぐ」探究実現のためのカリキュラム・マネジメント 

総合的な探究の時間は、各教科で学んだことが生きる学習です課題設定や課題解決の中で各教科・科目などで育まれた資質・能力を自然と相互に関連付けていくため、生徒たちはすべての学びが実社会・実生活の中で総合的に活用できると感じることができます。

この観点からカリキュラム・マネジメントを行うと効果を最大化できるはずです。本校では、たとえば「情報Ⅰ」で行っているグループによるアンケート実習を、探究活動にも接続しています。一例として、本校の情報科と総合的な探究の時間のカリキュラム・マネジメントをご紹介します。情報Ⅰでは問題解決学習を全単元で行っていますが、その中のデータの分野では、アンケート実習をグループで行い、知識・スキルを習得させています。総合的な探究の時間ではこの学習経験を個人の調査研究に生かしていくわけです。学習したことをその授業で活用することにより学びの連動性が生まれ、生きた力にしていくことが可能になります。

効果的なカリキュラム・マネジメントの鍵は、教科を越えた情報共有と連携です。
生徒情報だけでなく、授業内容についても教員同士が対話し、連携しながら進めると、教科間でそれぞれどう教えると良いか工夫・検討することができ、効率良く授業を進めることができるのではないでしょうか。

 
 教員も変化を楽しむ 

学習は、学びのモチベーションをどう作り、それを高めていくかが肝心です。また、生徒が自ら学ぶ姿はわれわれ教員のモチベーション・アップにもつながります。生徒はもちろんのこと、先生方も変化を楽しみながら進めていけるよう、さまざまな学習活動に探究的な学びが波及する学習サイクルの設計をこれからも模索していきたいと思います。

 

 ※内容はすべて2022年12月当時の情報です。