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【セミナーレポート】こうすれば、学校は変わる! 先生の働き方改革実現のポイントとは(2)

作成者: Ai GROW 運営事務局|Apr 22, 2021 6:38:04 AM

3月17日(水)開催の弊社主催オンラインセミナーで、岩倉高等学校の大日方樹先生にお話しいただいた、「Ai GROW」を活用した業務改善の実践についてご紹介していきます。

 

特色ある教育の成果をコンピテンシーの成長で明らかにする

上野駅の真横にある岩倉高等学校は、私立の鉄道学校として開校、創立およそ130年になります。共学化から6年で、生徒数は約1300名、進学7割、就職3割、運輸科があり鉄道会社に就職する生徒が多いのが特徴です。普通科は4コースあり、難関大学を含め様々な道に進んでいます。過去には野球部が春の選抜で優勝や「観光甲子園」で準グランプリを獲得、「熱血! 高校生販売甲子園」に出場と、色々な活動をしています。

偶然の出会いから「Ai GROW」について話を伺う機会を得て、直感的に「これはいい」と感じました。校長の賛同も後押しして導入の運びとなり、2019年度から1学年で導入、今年度は3学年で導入しますので、新3年生は3年間の非認知能力の成長を見ることができます。現在は春休み前の自宅学習期間ですが、今年度最後の「Ai GROW」受検を実施しています。生徒の受検進捗をリアルタイムで把握できるため、登校していなくても運用に問題はありません。他にも「Ai GROW」の活用については、学校説明会でも実施内容を公開しています。

 

自己評価の低かった生徒が大きく成長

「Ai GROW」は、「自己評価」だけでなく友人3名による「相互評価」があり、教員は自己評価と相互評価の乖離を確認できます。私が担任している2名の生徒が、周りからの高い評価に対して自己評価が低いことが分かりました。自信がないところやネガティブな発言が多めなところも垣間見られます。

ある朝、ホームルームで新聞記事を紹介しました。「コロナ禍、駅員さんが医療従事者への応援ボードを作ったら病院からお礼がきた」というものです。「みんなだったらどういうことをする?」と問い掛けて、先ほどの二人の生徒に「ちょっと仕切ってみてよ」と声を掛け、クラスのまとめ役をやってもらいました。

すると「学校1階の窓に医療従事者の方へメッセージを掲出する」という企画が出されました。そこで「管理職の先生に提案しよう」ということになり企画を持っていくと、「予算を付けるのでもっと大掛かりにやるように。垂れ幕を作って出すぐらいやってみたらどう?」との回答がありました。二人は非常にやる気を持って取り組むようになりました。

全くのゼロベースではなく、ある程度のデータと、普段の生活の中で担任が気になっている部分を組み合わせることで、効率良く適切な指導ができたと感じた出来事です。これからも「Ai GROW」を活用して、このような「Ai」+「教員の目」で指導できればと思っております。

 

「相談を受ける面談」から「提案する面談」へ

保護者面談では、対面でもオンラインでも「Ai GROW」の診断画面を共有します。客観的に言語化、グラフ化された資質・能力は分かりやすいと好評です。生徒に「周りから高い評価をされているから、自分に自信を持って」とアドバイスした際は、保護者の方から「先生、よく見てますね」と言っていただきました。「Ai GROW」のデータに担任の視点を肉付けしていく活用方法です。

それまで保護者との面談は「保護者からの相談を受ける」という形になりがちでしたが、こちらから色々な情報を提案し、提案することが可能となり、保護者との意思疎通も図りやすくなりました。受検が2回以上であれば前回との比較も可能です。数字が下がったときは、原因を探りながら悩みなどを引き出すツールとしても使えると思っています。

 

業務負担を軽減することで生徒や保護者のために使える時間が増す

面談準備に関していえば、経験の少ない先生でも、時間的・心理的な負担を軽減できますし、これまでゼロベースで準備していた教員は「こんなに時間短縮になるとは! 」と驚いていました。

クラス替え、席替え、グループ分けなどに使えるグルーピング機能も活用します。目的に合わせ、気質が離れている生徒を一緒にする設定にしたり、近い生徒を一緒にする設定にしたりして、最終的に教員が生徒同士の相性などを考えて微調整するという使い方です。

「Ai GROW」のさらなる活用で業務の負担を軽減し、その空いた時間で教員にしかできない「業務の質を上げる」ことで、生徒や保護者に還元していきたいと思っています。

 

講師:大日方 樹先生(岩倉高等学校 教諭)


(写真提供:クリスクぷらす)

【プロフィール】

岩倉高等学校運輸科卒。大学卒業後、相模鉄道(株)にて駅係員・車掌・運転士を経験し2009年より現職。現在、運輸科2年クラス担任と就職指導部主任を担当。全国高等学校鉄道模型コンテスト実行委員会理事。相模鉄道在職中に、総合旅行業務取扱管理者・サービス介助士インストラクター資格・教員免許を取得。主な観光学指導歴に、第4回 観光甲子園準グランプリ受賞(2012年)、第7回観光甲子園全国旅行業協会会長賞受賞(2015年)。校外活動において、高校生販売甲子園指導教諭(2016年~2019年)、鉄道模型部顧問として第4回・第11回全国高等学校鉄道模型コンテスト最優秀賞受賞。他にも国交省・観光庁の協議会委員としても活動。

 

編集・執筆:株式会社REGION